-その1-

  今回はウォーキングというよりは、トレッキング以上、ズバリ登山です。
伊吹山というのは、滋賀県と岐阜県の県境に位置する標高1,377mの山なのだ。
夏の伊吹山は頂上を中心にお花畑が広がることでも有名で、岐阜県側からは頂上付近まで車で登ることも可能です。そんなこともあり、結構観光化された山なのです。
しかし、今回は山麓から自分の足のみで頂上まで登ってきたぞ。とくとご覧あれ。


コース、所要時間、距離を見る


 今回は夏!ということで、「寒い季節にはとてもじゃないけどできない」伊吹山登山を計画! 伊吹山は夏場、頂上付近を中心に高山植物のお花畑が広がるので、もっとも花が咲き誇る7月になれば是非登ろうと思っていたんだ。頂上までは伊吹山ドライブウェイという道路もあり、比較的近くまで車で登ることもできるんだけど、今回は調子を決めて自分の足で登り切ってみようと考えついてしまったのだ。毎日のように見る伊吹山はどっしりとしていて、なかなかに登山という気分を高めさせてくれるんだ。(しかし、後で簡単に思いついてしまった自分に対し後悔することになってしまうのだった。)

 登山当日は梅雨明けした日曜日。朝から暑い晴れた日でした。水筒に飲み物とお昼のおにぎりを用意して、まずは伊吹町上野にある登山道を目指しました。国道365号からはリフト・ゴンドラ乗り場の看板を目指すとわかりやすいと思うよ。(今回は登山口までは車を使いました。長浜駅や近江長岡駅からは路線バスも出ています) 近くから見た伊吹山は、上の方がちょっぴり曇っていました。登山口そばには観光案内所があります。近くは軒並み民間駐車場を経営していて、駐車料金は1,000円でした。駐車場のおばあちゃんが「こっちから登るといいよ。」と教えてくれたのはゴンドラ乗り場にたどり着く道でした。


ゴンドラ乗り場への道

 
ゴンドラ乗り場。
ここから3合目にひとっ飛び。

 目の前に見えたのは西武カラーに彩られた立て看板とひろい通路。何の疑問も持たずにそのまま進むと例のゴンドラ乗り場がありました。そんなもの使うかい!と、横目で脇に伸びる登山道と思われる?車道を進んでいきました。車道だけあって道は舗装され、登りもなだらかで歩くのは楽でした。日差しをさえぎってくれる、周りに生えている木は杉などで、おそらく植林されたもの。途中、朽ち果てたような自動車が2,3台あったのには驚きました。捨てられて?だいぶ経っていそうです。


 行きかうゴンドラ。
これでも結構登っている。

道中下山してくる登山客とすれ違い、登っていく車の排気ガスに怒り、「伊吹山登山ってこんな感じなのね。」と大きな誤解をし、またゴンドラを上に見ながら気持ちいい「ウォーキング」を楽しみました。

 登山道の碑


拡大図。やっと1合目。
頂上まであと5090m

 約40分ほどで1合目に到着したんだけど、ここで恐るべき事実を知ってしまったのだ。今歩いてきたのは登山道ではなく、ただの1合目に続く車道だったということを! なぜこんなことに・・・。後から考えると親切心でおばあちゃんはゴンドラ乗り場への道を教えてくれたのでした。ボクとしても降りてくる人がいるのでてっきり登山道だと思っていたのもあるんだけど。トホホ・・・。

 気を取り直し、いよいよ本格的に登山をすることになりました。いよいよ日は高くなり天気は快晴、雲一つないという状況になっていました。1合目から2合目にかけては伊吹山スキー場内を歩きます。もちろん夏なので雪はないのですが、緩やかに見える斜面は歩いてみると結構急です。しかもだらだら登るだけなのですぐに疲れてきました。ちょっと登っただけなのに・・・とこれからのことを思うと気が重くなりました。しかし2合目にいくだけでこの様では情けないと、ひたすら歩きました。2合目へはスキー場の斜面とおさらばして、脇の登山道を登っていきます。これがまた以外と急な上り坂。しかもこのあたりになるとあたりは草原で、陰になるようなところもほとんど見あたりません。日はじりじりと照りつけます。仕方ないので炎天下で休憩をとりつつ登っていきました。


スキー場の斜面。
結構このだらだらが疲れるんだ。
(1合目〜2合目間)
よくみると入道雲はあったね。(汗)

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←2合目の看板。スキー場の斜面を越えて山道に入った途中にある。頂上まで4,244m。木が生い茂っているように見えるが、登山道自体には意外と影になりそうな木は少ない。

3合目の看板。登山道とキャンプ場の分岐点の境に立っていた。手前側が丘になっており、伊吹山高原ホテルとゴンドラ乗り場がある。→

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3合目ホテル前から望む伊吹山。
思わず圧倒される。

 3合目に近づくと再びスキー場に出くわします。伊吹山高原ホテルの建物を見たときには、「あぁ、これで助かった」と思ってしまった。滝のように汗として流れた水分を十分に補い、しばらく休憩しました。再び元気を取り戻すと再び登山に戻ります。


近代スキーの父。伊吹山スキー場を造った人でもある。

3合目から見た伊吹山は、「これからまだあそこまで登らなければならないのか」と思わせるほど、堂々としていました。(1〜3合目に至る登山道からは、3合目の高原地帯が邪魔をして伊吹山の頂上はあまり見えないのだ)


4合目看板

 3合目から4合目まではリフト1基そのまま片道分の距離です。リフトの頂上がそのまま4合目になっていました。でもここからまだ頂上までは2.7kmもあるという・・・・。4合目を右に曲がる道を登り、しばらくすると急に目の前が開けました。5合目です。

はるか眼下に見えるは3合目。
これで結構登ってるんだ!
4合目より。

5合目。
ベンチもあって休憩にもってこい!

5合目にはちょっとしたベンチと自動販売機(!)があり、いよいよ頂上への斜面に直面しながら小休止をとることになります。このあたりからは木々といったものは見あたらず、斜面は草原が広がるのみとなります。登山を始めて2時間ちょっと、日は真上から照りつけてきます。山の上だけあって日差しもきつい感じがしました。

 5合目を過ぎしばらく緩やかな斜面を登ると、いよいよつづら折りになった登山道へと続いていきます。上を見るとまだまだ頂上は向こう。登山者の人影もまだ確認できるかできないかぐらいの大きさです。このころからはしばらく歩いては休憩、もうちょっと歩いては休憩を繰り返しつつ登っていきました。ボクは本気でこの登山を計画したことを後悔しました。真夏で特に登山には厳しい真昼の照りつける気象条件とはいえ、あまりにきつくて死にそうだったんだもん。


6合目にて。まだまだ頂上は先。
しんどいよぉー。

 

しかし、5合目から頂上までは斜面につづら折りにつながる登山道があるのみ。こんなところでへばってしまってもどうにもこうにも仕様がないのだ。何とか頂上まではと恨めしそうに見上げるんだけど、なかなか近くなりません。


眼下にはこんなにすばらしい景色が広がっているのに・・・・。

写真撮影もままならず、ひたすら「○合目」の表示を目指して登ります。6〜7合目の道はどんなふうに登ったのかよく覚えていない始末です。周りに広がるお花を愛でる余裕はもはやありませんでした。それにしてもすれ違う下山者の皆さんはそろいもそろって笑顔! 一方これから頂上を目指す人は皆息も絶え絶え。なぜ、こんなに違うの?


7合目。

 8合目に到着しました。ここには簡単なベンチがありますが、日陰にはならず・・・・。休憩する登山者の皆さんは口々に「今日は暑くてつらい」との事でした。何回か伊吹山に登っているベテラン(?)さんでも同じ気持ちのようでした。「裸山(はだかやま:木々が生えていない山)だから陰になるところもないしねぇ。」 しかし彼曰く、「9合目まではまだきつい登りが続くけど、 9合目をすぎるとだらだらの登りになり楽になるよ」ということです。その言葉を信じて再び登り続けます。上を見るとさすがに頂上に近づいているという感じでした。そのころには山頂の遊歩道を歩く人々の姿もはっきりと確認できるようになります。


8合目到着。この頃が一番辛かった・・・。


9合目看板。もう少し。

 そして9合目に到着。道は急に緩やかになります。おっちゃんの言うとおり、「やったぁー。もうすぐだ。」と思って前を見るとだらだらとはいえ、結構急で石がごろごろしている登り道。 ガーン! 歩いていくとここまで急な坂道を上ってきた身にはつらい坂道。何が楽になるよだよー・・・・。 

最後の最後でホント疲れる道だよ・・・。見にくいけど、岩がゴロゴロしてるよ。周りにお花畑が広がっているのが救いかな?
 

目前に迫る売店の建物だけを目標にもうすこし、もうすこしと歩きました。売店の前にたどり着いたときには、「ヤッター!!!」と思うより先に「休憩させてくれぇー!」の気持ちのが大きかったのだ。(その2に続く)

 

 

 

 

 

 

 

(2002年7月)



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