黄金のバゴダの前で タチレクの
 黄金のバゴダの前で

 この旅は元々、『中国雲南省のシーサンパンナとベトナムを一緒に旅しよう』という、当社の顧客S氏よりの呼びかけが始まりであった。過去私も何度か雲南省を訪ねているが、昆明からハノイへ通じる国際列車の旅程を組んだことはなかった。ただ石林へ行く途中、山中を縫うように造られた軌道を走る列車を見て、これがハノイへ行くのかと思ってから、以降ずっと頭の片隅にそのことがあった。


T.ツアー企画に至るまで

 まず、昆明〜ベトナム国際列車の旅を企画しようと、付き合いのある現地のランドオペレーターに相談したが、列車の運行スケジュールが不確定であり、決まった日数の旅行は困難だという返事をもらった。一方、昆明へは当時日本より日本エアシステムが乗入れていたが、これを利用して近隣諸国を巡るのは航空運費が多くかかる為、ツアー代金にはねかえりより多くの参加者は見込めないと思われた。思案しているときタイ国際航空のタイムスケジュールが目に入った。バンコクと昆明、しかもチェンマイに立ち寄るフライトがあった。同じ航空会社をつなぐ方が旅費も安くなると、タイ航空に太いパイプを持つ旅行社の担当N君にさっそく電話を入れた。すると彼は「大変面白い企画ですね。大手旅行会社も思いつきませんよ。」と返事をくれた。しかも航空運賃もさほど高くなかった。このことがこのツアーを組むきっかけとなり、タイ航空を利用しバンコクを経由して昆明へ行き、そこで雲南航空に乗換えシーサンパンナを往復、チェンマイ、チェンライ経由でゴールデントライアングルを訪ねる企画を思いついた。

U.いよいよ出発〜中国雲南省「九郷鍾乳洞」

 実際に当社の顧客宛に募集をしたが、海外旅行のビギナーには人気はなく、海外旅行のベテランの顧客からの参加が中心となった。もちろん発起人S氏も参加である。
 日本からのタイ航空は若者に人気のある関西空港発TG627便を利用し、バンコクで乗継をする予定であったが、バンコク〜昆明間のスケジュール変更があり、バンコクで相当な待ち時間ができてしまった。バンコクの市内観光を入れざるを得なかったが、バンコクを初めて訪れる人がありラッキーであった。

 バンコクより昆明への移動途中、機内放送があり眼下にメコン川が見えるとの事であった。目を窓につけると、ちょうど大蛇がうねているように緑のジャングルの中に一筋の大河が見渡せた。又、方々の山々より煙が立ち昇り白い煙幕をはっているが、これは焼き畑農作のために木を切り倒しているものと思われた。ボルネオでもそうであるが、皆食べていくためには森の伐採もやむをえないのかもしれない。  

メコン川
↑眼下に見たメコン川
もやがかかったように見える

 ↓石林:名前の通り、石の林のようである

石林

 まず、中国雲南省の最初の訪問先は石林観光であるが、日本からの団体は昆明より日帰り観光する為、あえて石林で1泊することになった。石林観光だけでは魅力がないので、何かないかと近隣地区を調べると『九郷鍾乳洞』なる見学先があった。日本にあるガイドブックには何ら記載されていないので、さほど期待はしていなかった。しかし、これがとんでもない宝物であった。

 昆明より石林に行く途中脇道に入り細い山道を行く事1時間半、突然目の前に広い駐車場が現れた。大型バスが十数台停車しており、どこの誰がこのような山奥の鍾乳洞を見学しているのかと興味を覚えた。ガイドが言うにはまず舟にて渓谷見学をするとの事。近代的なエレベーターで川岸に降りると、多くの中国人が列をなし10名乗り位のボートが来るのを待っていた。ボートとはいえど私の感覚からいえば、田舟に近い鉄製の簡単なもので、小さなエンジンが音を立て、竿を持った船頭が乗っていた。

この渓谷は太古から川の浸食により、両岸は鍾乳石が垂れ下がった淵を形成していた。まさに幽玄の世界を見ているようであり、参加者一同感嘆の声を挙げていた。この遊覧見学が終わると、川の両岸に柵を施した小径が続き、川を遡ることとなった。やがて、この川は地中の大トンネルに吸い込まれ、怒濤さかましく大激流となり、ちょうど台湾のタロコ渓谷を大洞窟にしたような景観をなしていた。また鍾乳洞自体も天井が広く、大広間のようであり、私が日本各地や中国各地で見たどの鍾乳洞と比べても、まるで規模が違っていた。


 ↑九郷鍾乳洞:侵食により深く刻まれた川

ツアーの参加者も大変感激し、これが大陸の鍾乳洞だとさかんにカメラのフラッシュをたいていた。地下を流れる川には滝もあり、轟音が腹に鳴り響いた。

  滝
洞窟内の滝:
すざまじい轟音をたてている。

 この地区の面積はどれくらいあるのかを聞き逃したため、リフトで駐車場へ帰る際にその川の場所を探したが、雄大すぎて規模の大きさを確認することができなかった。日本人は私たちのグループのみで、外国人はといえば台湾人を見るのみであった。何故、日本にて紹介されていないのであろうか。今後の雲南省政府の広報活動に期待したい。(その2へ続く)

 

 

 

 

 

 

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